築40年以上の実家を建て替えたKさん宅は1階が親世帯、2階が子世帯で構成された玄関共有型の二世帯住宅。「実家は大工だった祖父が建てた思い入れのある家。当初はリノベーションを検討していましたが、傷みが進んでいて基礎も生かせず、建て替えが妥当という結論に至りました」と、Kさんは振り返ります。

キッチンの背面収納と冷蔵庫の間は、構造上必要な壁を利用して可動棚を設けた

大容量のクローゼットを設置した子ども部屋。2階はLDKを中心に2つの個室と寝室、納戸で構成されている

キッチンからLDKをぐるりと見渡せるのが理想だったという奥さん。旧居の2階は個室のみで構成されていたため、「明るさと窓の向こうの見通しの良い景色が新鮮です」

建築関係に従事しており、さまざまな建築会社との付き合いがあるKさんは、「同僚も選んでいたこと、仕事上でも信頼の厚い企業であったこと」を決め手に、橋本川島コーポレーションに新築を依頼。「両家の要望を丁寧にくみ取ってくれたので、安心して委ねることができました」と話します。

洗う、干す、畳むが1ヵ所で完結できる清潔感のあるランドリールーム。「設計士の齊藤さんのアドバイスで棚を設置しました。乾いた後にすぐにしまうことができるのでとても便利です」と奥さん

防音扉を設置した1階の音楽室の床は、吸音性を考えて玄関の打ち出しコンクリートを活用しているため、床レベルが下がっている。Kさん宅の換気は第3種換気だが、換気口が遮音性を損ねることを考えて、音楽室のみ第1種換気を採用した

二世帯住宅づくりにあたり、Kさんご一家が大切にしたのは「生活上は分離しながらも、適度に顔を合わせることのできる距離感」です。1階は思い出深い旧居の面影や、染み付いた生活習慣の継承がプランの要。居室の配置や広さは旧居を踏襲し「新しいのになじみのある実家」を実現しました。また、Kさんご夫妻は大の音楽好き。防音扉で仕切った音楽室が1階の新たな要素の一つになっています。

1階のキッチンは旧居から趣を変え、壁付けから対面式に。リビングで遊ぶ孫の様子を眺めながら食事の支度ができる

リビング横の和室も旧居と同じ配置と広さで、収納や仏壇の納めを整えて使い勝手を向上。頻繁に2階から孫が遊びに来る賑やかな毎日だという

共有玄関は木が温かな雰囲気をもたらす明るくて広い空間。2階へは玄関ホールから直接アクセスできる。左手前の個室はKさんご夫妻の音楽室で、右手がお母さんの居室

2階は子どもが走り回れる仕切りのない開放的なLDKが暮らしの中心。寝室や2つの個室に加え、生活リズムの違いがストレスにならないように、お母さんの寝室の上部に納戸を設置して足音に配慮しました。程よい距離感で結ばれる二つの家族は、旧居の面影の中で新たな時間を刻んでいます。

大きな車庫のあるKさんご一家の住まい。「仕様は異なりますが、車庫の位置や外観のフォルムはほぼ以前の住まいを踏襲しています」とKさん